3杯め ウルトラ生姜コーヒー
ダイエットを再開してからもうすぐ1ヵ月になる。おれは激しい運動ができないので、食生活の改善を核としたダイエットだ。
「〜するだけで痩せる」「〜を食べるだけで脂肪が燃える」といった、夢のような話をおれは信じない。食品のエネルギー計算を核として、摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスを地道に調整し続けることが唯一の道だと思っている。
そもそも怠惰と放埒で脂肪を貯めたんだから、振り子を戻すには勤勉と節制しかないだろう。
と言ってはみたものの、良さそうなアイデアは積極的に取り入れたい。その際の条件はふたつ。お金が(あまりかからないこと、そして楽しめること。メインのルートさえ把握しておけば、多少の寄り道、回り道は気分転換になりこそすれ、迷子の原因にはならないはずだ。
そしてこっそり楽もしたい。
ある人から生姜紅茶の話を聞いた。
生姜紅茶じたいは、おれも試したことがある。そのときはリプトンのティーバッグにチューブ入りのおろし生姜を混ぜて飲んでいた。手軽さではちょっとこれ以上の方法はないだろう。でも、気づいたらやめていた。手軽なのはたしかだが、劇的な効果が感じられなかったし、味もつまらなかったのが敗因だと思う。
今回おれに生姜紅茶の話をしてくれた人は、生の生姜をスライスしたものを個別にラップして冷凍し、紅茶を淹れるたびに加えているそうだ。なかなか魅力的なアイデアだと思ったし、さっそくマネしてみようとも考えた。
すぐにスーパーへ生姜を買いに行く。中国産の安いのと、国産の安くないのが並んでいた。近頃は福島産を避けて中国産の野菜をわざわざ選ぶような風潮があるが、国産を買った。
さっそくスライスしてラップして、と思ったが浮気心が芽生える。他の方法はないものか。たとえば、スライスせずに丸ごと冷凍し、飲む都度すりおろしてみるのはどうだろう。
おれはレモンでこの方法を実践している。レモンの"レモンらしさ"は皮に凝縮されているそうだ。実際、丸ごと凍らせてからすりおろしたレモンはとてもよい香りがするし、何にでも合う。カレー、うどん、ときには白いごはんにすらかけている。1個のレモンが1月以上もつのもすばらしい。
でも、生姜を凍らせてもだいじょうぶなのか? 冷凍室から出すとすぐに溶けると聞いたことがあるから、解凍と冷凍を繰り返すと生姜とは別のおそろしいものになっちまわないか? なんて思いながらネットをさまよっていたら、すばらしい方法があった。
それが、ウルトラ生姜だ。
盲信こそしていないが、かなりの信頼を寄せている『ためしてガッテン!』のサイトだ(→ ここ)。
どこがウルトラなのか? 番組の調査によれば、ノーマルな状態の生姜は指先などの体表の温度は上げてくれるが"深部体温"には効果がいまひとつそうだ。ところが乾燥させた生姜は深部体温にも効くらしい。水分を抜くことで生姜そのものの扱いやすさも格段に上がる。たしかにウルトラである。
なるほどねえ。冷凍するのではなく、スライスして乾燥するとは。自分ではまず思いつくことのなかった発想だ。さすがはガッテン、と思ったが、漢方の世界では古くから"寒冷腰痛を止める""中から温める"といった薬効が認められているそうだ。
善は急げで、さっそくやってみた。こういうことは、すぐにやらないとけっきょくやらずじまいになることが多いしな。
1.2〜3ミリの厚さに切った生の生姜をザルに並べる。
ザルも網もダイソーで買ったもの。
ふだんはコーヒー豆の冷却に使っている。
2.ベランダで日光浴させる。
3.このくらいでひっくり返して裏を干す。
夏の晴れた日なら両面で6時間あれば充分。
降ったら室内に退避させればいいだけのこと。
4.ミルサーで粉末に。
コーヒーミルならさらに細かく砕けるが、
マシンに匂いがつくのはゴメンなのでミルサー。
丸洗いできるしね。
5.アイスコーヒーに粉末を浮かべて飲んでみた。
けっこう合うじゃん。
でも体を温めるものをアイスで飲のはどうなんだ。
この方法だと粉末が気になる人もいるだろう。
6.ホット版を淹れる。
蒸らした粉のうえにウルトラ生姜の粉末をぱらぱら。
量は目分量でテキトーに。で、抽出続行。
やはり匂いがつくのを恐れて金属フィルターの使用は避けた。
7.うん、いける。
ただしこれにばかり慣れるとノーマルのコーヒーを味気なく
感じるようになっちまうかも。「たまに」にしておこう。
ホットのウルトラ生姜コーヒーには、ハイチの豆をつかった。
生姜の味はコーヒーに比べても強い。豆の甘みをふっとばしちまうくらい強い。ただし酸味や苦味とはうまく同居できるようで、事前に想像したよりもはるかに「飲める」味だった。
ダイエットのことを考えなければ、これにハチミツをプラスしても楽しそうだ。